人間らしい感情が、ここまで痛いほど伝わってくるシューティングゲームは珍しいかもしれません。
本作『ULTRA0』はシューティングでありながら、ビジュアルノベル演出に力が入れられており、そのストーリーは切なく、心の奥をナイフで切りつけるような「痛み」がありました。
また、本作のビジュアルはピクセルアートで表現されており、設定は現代的でありながら独特の雰囲気を感じさせてくれます。シューティング部分は、過去の名作「スペースハリアー」を彷彿とさせ、ピクセルアートの表現と相まって懐かしさを感じる方もいるかもしれません。
本稿では、そんな本作の魅力を、感情を交えながら綴っていきます。
| 目次 |
|---|
| 『ULTRA0』とは |
| 少女たちと怪獣の戦いを描く『ULTRA0』 |
| 懐かしさを感じるピクセルアートと魅力的なキャラクター |
| 気付けば夢中になっていたシューティングパート |
| 人間らしい感情が痛いほど伝わってくる物語 |
| シューティングだけでは終わらない魅力を持った作品 |
| English Summary |
『ULTRA0』とは
本作『ULTRA0』は、2Dプラットフォーマー『MOMIBOSU』を手掛けたPenGamesの最新作です。
一見すると擬似3Dシューティングですが、遊び始めてすぐに「これは物語をじっくり味わうゲームなのかもしれない」と感じました。
シューティングの難易度は比較的やさしく、学生のような風貌のキャラクターたちと怪獣との戦いが、ビジュアルノベル形式で丁寧に描かれていきます。
タイトル:『ULTRA0』
ジャンル:擬似3Dシューティング
開発・販売:PenGames
プラットフォーム:PC(Steam)
価格:999円
対応言語:日本語・英語
Steamページ:https://store.steampowered.com/app/4019180/ULTRA0/?l=japanese
少女たちと怪獣の戦いを描く『ULTRA0』

舞台は、10年前に突如現れた「怪獣」によって危機に瀕した国家「N国」。
長きにわたる戦いの中で、多くの命が失われました。そんな絶望的な状況のなか、人類の希望として戦い続けているのが少女たちです。
その中でも卓越した戦闘能力を持つ少女「しろがね」。幾度となく仲間を窮地から救ってきた彼女は、ある日、緊急出撃命令を受け、未知の怪獣迎撃へと向かいます。
しかし、その戦いは彼女たちの運命を大きく変えていくことになります。
懐かしさを感じるピクセルアートと魅力的なキャラクター

本作の魅力のひとつが、丁寧に描き込まれたピクセルアートです。
キャラクターたちは風に揺れる髪やまばたき、表情の変化まで細かく表現されており、まるでアニメを見ているかのような生き生きとした存在感を感じさせてくれました。
会話シーンでは感情の機微もビジュアルによって、しっかり伝わってきてキャラクターの魅力に心を奪われました。
一方、シューティングパートではどこか懐かしさを感じるドット絵の世界が広がります。自機や敵キャラクターにはレトロゲームを思わせるかわいらしさがあるものの、巨大な怪獣たちは触手や有機的なディテールが描き込まれており、不気味さもしっかりと感じさせます。
また、背景の作り込みも見事でした。精密に描かれた街並みや自然の間を高速で駆け抜ける場面は爽快感があり、本作ならではの疾走感を味わうことができます。

ビジュアルノベルパートでは、その疾走感とは対照的に、じっくり背景を眺める楽しさもありました。細部まで描き込まれた風景からは開発陣のこだわりが伝わってきて、思わず見入ってしまう場面も少なくありません。
気付けば夢中になっていたシューティングパート

本作のジャンルは「擬似3Dシューティング」です。
画面構成は『スペースハリアー』を思わせるもので、敵は画面奥から次々と迫ってきます。プレイヤーは敵の攻撃を回避しながら照準を合わせて戦いますが、攻撃は自動で行われるため、シューティングが苦手な方でも遊びやすい印象でした。実際にシューティングが苦手な筆者でも、クリアまでほぼ撃墜されることはありませんでした。
もちろん、簡単なだけではありません。ボムのような強力な攻撃や付け替え可能な特殊能力が用意されており、戦い方にはしっかりと幅があります。敵の弾幕をかいくぐりながら攻撃を続ける感覚は爽快で、空中を駆け抜けるようなスピード感も心地よく感じられました。
道中ではランダムでアイテムを獲得でき、自機を強化することができます。さらに、取得した強化がまれに2倍、3倍になることもあり、欲しかった能力が一気に強化されたときはかなりテンションが上がりました。狙った強化が大きく伸びることもあり、ランダム要素がプレイのアクセントになっています。
さらに、一定のタイミングで立ち寄れるショップでは機体の強化やカスタマイズも可能です。ランダム要素だけに頼らず、自分なりの方針で育成できるのは嬉しいポイントでした。
そして何より印象的だったのは、シューティング中も物語の演出が途切れないことです。単にステージをクリアしていくだけではなく、ストーリーを追いながら戦っている感覚があり、最後まで飽きることなくプレイできました。
やさしめのシューティングでありながら、遊び終わったあとに最も印象に残ったのは物語でした。シューティングゲームが好きな人はもちろん、キャラクターたちのドラマを楽しみたい人にも触れてみてほしい作品です。
人間らしい感情が痛いほど伝わってくる物語

本作で最も印象に残ったのは、キャラクターたちの心の動きでした。
登場人物たちはそれぞれ強い個性を持っており、考え方も立場も異なります。怪獣との戦いという極限状態のなかで生まれる感情のぶつかり合いや共感、そして成長が丁寧に描かれており、その想いが痛いほど伝わってきました。
印象的だったのは、登場人物たちが決して完璧ではないことです。恐怖に怯えたり、感情的になったり、ときには他者と衝突したりもします。しかし、だからこそ彼女たちは人間らしく感じられました。戦うためだけに存在するキャラクターではなく、一人ひとりが悩みや葛藤を抱えながら生きていることが伝わってきます。
世界は怪獣によって追い詰められているため、ストーリー全体の雰囲気はかなりシビア。どこか『エヴァンゲリオン』を思わせる終末感もあり、先の見えない不安が常に漂っています。
怪獣との戦いそのものだけでなく、その影響を受ける人々の様子も描かれており、「もし本当に怪獣が現れたら」という想像をかき立てられました。常に死と隣り合わせの状況だからこそ、キャラクターたちの日常や会話のひとつひとつが貴重に感じられます。
とはいえ、重苦しい展開ばかりではありません。キャラクター同士のコミカルなやり取りもあり、それが束の間の息抜きになっています。そして、その明るい場面があるからこそ、シリアスな展開がより際立って感じられました。

また、現代的なSNSやスマートフォンを使った演出も印象的です。「こういうこと、本当にありそうだな」と思わされる場面もあり、時には少し怖さを感じることもありました。
怪獣による被害そのものよりも、人々の無責任な言葉が投げかけられる様子に不気味さを感じる場面もあります。現実の社会とも地続きになっているような描写が多く、本作の世界観に強い説得力を与えていました。
さらに、怪獣作品が好きな方であれば、思わずニヤリとしてしまう展開もあります。詳細はネタバレになるため触れませんが、『ゴジラ』シリーズに通じる絶望感や緊張感のエッセンスを感じる場面もあり、個人的には強く惹き込まれました。
『ゴジラ』シリーズの魅力は怪獣そのものだけではなく、その脅威によって揺れ動く社会情勢にもあります。本作も同様に、怪獣との戦いを通して人間の弱さや欲を描いており、その点に共通点を感じました。
物語の展開も見事で、気付けば一気にクリアまで遊んでしまいました。シューティングゲームでありながら、続きを知りたいという気持ちでコントローラーを握り続けていたほどです。
好きな人には深く刺さる作品だと思いますし、クリア後もさまざまなことを考えさせられる物語でした。派手な展開だけでなく、人間らしい感情の積み重ねを大切にした作品を求めている方には、ぜひ触れてみてほしい一作です。
シューティングだけでは終わらない魅力を持った作品

『ULTRA0』は、ピクセルアートで描かれた擬似3Dシューティングです。
シューティング部分は遊びやすく、それでいてランダム強化やカスタマイズ要素によって最後まで飽きずに楽しむことができました。『スペースハリアー』を思わせる爽快なゲームプレイは、レトロゲームが好きな方にも刺さるはずです。
しかし、本作で最も印象に残ったのはやはり物語でした。怪獣との戦いに翻弄され、感情を乱される少女たちの姿や、現代的なSNS表現を交えたリアルな世界観は、シューティングゲームであることを忘れてしまうほど、前のめりに引き込まれる魅力がありました。
ピクセルアートによる繊細な演出も素晴らしく、キャラクターたちの感情が丁寧に表現されていました。だからこそ、物語の出来事ひとつひとつがより強く、しんと心に残ります。
シューティングが好きな方はもちろん、魅力的なキャラクターや物語を重視する方にもおすすめしたい作品です。クリア後にはきっと、彼女たちの選択や生き方について今一度考えたくなることでしょう。
English Summary
ULTRA0 may look like a retro-inspired pseudo-3D shooter at first glance, but what stayed with me long after the credits rolled was its story.
Set in a world threatened by giant monsters, the game follows a cast of young girls struggling with fear, loss, hope, and the burden of fighting for humanity’s survival. Their emotions feel surprisingly genuine, and the conflicts between the characters are often just as compelling as the battles themselves.
The game’s detailed pixel art brings both its characters and world to life. Small animations, expressive character portraits, and carefully crafted environments add a strong sense of presence that makes it easy to become immersed in the story.
While the shooting gameplay is accessible and enjoyable, ULTRA0 is much more than an action game. Its themes, emotional storytelling, and realistic portrayal of people living under constant threat reminded me of classic kaiju stories, including elements that fans of Godzilla may appreciate.
By the end, I found myself continuing not because I wanted to clear the next stage, but because I genuinely wanted to know what would happen to these characters. For players looking for a story-driven experience with memorable characters, ULTRA0 is well worth checking out.
© 2025 PenGames
※掲載画像は開発元が公開しているプレスキット素材を使用しています。

ライター/ねりけし
ピクセルアート(ドット絵)ゲームプレイ歴20年以上。
Vtuberの下で2年間、動画作成とプロモーションを学ぶ。
最近インディーゲームの魅力に気付いて沼にハマる。

